障がいのある人の人権問題にはどんなものがある?課題や解決策とは
障がいのある人も、健常者と同じく尊厳のある生活を送れる社会でなくてはいけません。
しかし、実際には障がいのある人は生活の中で差別されたり、拒否されたりなど、理解や配慮はまだ十分とはいえないでしょう。
本記事では、障がいのある人の人権問題の課題や対策についてご紹介します。
障がいのある人の人権問題とは
現代でも、障がいのある人は日常生活において差別されるなどの人権問題が発生しています。たとえば、以下のような問題があります。
・職場で差別待遇を受ける
・店舗でのサービス等を拒否される
・車いすでの乗車を拒否される
・アパートの入居を断られる 等
障がいのある人が、日常生活や社会生活を分け隔てることなく個性を尊重し合いながら矯正するためには、これらの問題について関心と理解を深めることが大切です。
障がいのある人を取り巻くさまざまなバリア
障がいのある人が日常生活や社会生活を営むには、さまざまなバリアがあるとされています。
・物理的バリア
店舗等の段差や車いすにも対応したトイレの不足など物理的なもの
・制度面のバリア
就業や生活に関わるもの
・情報面のバリア
視覚や聴覚などの障がいによる情報入手やコミュケーション面での不足等
・心のバリア
障がいのある人への無理解や偏見などから生じる人間の心に起因するもの
このようなバリアを取り除き、障がいのある人が生活において制限を受けないようにする「バリアフリー」の社会になることが求められています。
障がいのある人の人権問題の対応策とは
障がいの有無に関わらず、誰もが尊重し支え合って暮らす社会が理想とされています。
そうした社会の実現を目指し、2011年に障害者基本法が改正されるなど法制度の整備が行われています。
さらに2012年には障害者虐待防止法、2013年には障害者差別解消法が制定され、虐待の防止と障害者雇用促進法が改正されました。
これによって、虐待の防止や虐待を受けた障がいを持つ人の保護と自立を図る取り組みが始まったのです。
そして2018年には精神障がい者を雇用義務の対象とする等を含めた措置が追加され、雇用に関する制度が改善されました。
これにより、雇用分野においての障がい者に対する差別が禁止されたのです。
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、国籍、個人の能力等に関係なく、できるだけ多くの人が利用できるような環境を作り上げることです。
東京都などでは、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機として、ユニバーサルデザインを取り入れた街づくりが進んでいます。
バリアフリー
バリアフリーは、障がいのある人が生活をする上でのバリアを取り除くという意味です。
もともとは建築用語で、建物内の段差の解消など物理的な障害の除去という意味で使われていたとされています。
現在では、物理的、制度面、情報面、心のバリアをすべて除去するという意味で用いられることが多いです。
たとえば、以下のような施策が行われています。
・物理的バリアフリー
交通機関や建築物等の物理的障壁を除去
・制度面のバリアフリー
資格や免許等を付与する際の制限等の障壁を除去
・情報面のバリアフリー
コミュニケーションの支援体制を充実させ、ソフト・ハード両面でのバリアフリー化の推進
・心のバリアフリー
人間としての尊厳を損なうような扱いの撤廃
ノーマライゼーションの理念の定着
ノーマライゼーションとは、障がいのある人や高齢者も一緒に生きていくのが通常の社会である、ありのままの姿で誰もが同等の権利を享受できるという考え方・方法のことです。
これは、隔離主義や保護主義などの障がいの人に対する取り組みが、必ずしもその人の尊厳を尊重するものではなかったため、ノーマライゼーションという考え方が登場したとされています。
法務省や人権擁護団体も、このノーマライゼーションの考え方を定着させようと、啓もう活動を行っています。
さらに、障がいのある人の自立や社会参加を促進するための活動も行われています。
相談窓口の設置
障がい者施設等においては、施設の協力を得て特設の人権相談所などが開設されている場合もあります。
相談所では、入所者などその家族が気軽に相談できるようになっています。
また、介護サービス施設やホームヘルパーなど、障がいのある人と接することの多い従事者に情報提供を呼び掛けるなどの工夫も行われていました。
このように法務省の人権擁護機関では、障がいのある人と障がいのある人と接する人の相談対応を充実させ、啓発活動や調査救済活動などが行われています。
また障がいのある人や支援者のニーズをしっかりと聞き取り、地域で暮らしやすいような支援策を検討する必要があるでしょう。
まとめ
現在でも、障がいのある人に関する偏見や差別は根強く残っています。
これを解消するには、障がいのある人に対する正しい理解や配慮が不可欠です。
また、それに加えて法整備やユニバーサルデザインの定着などが広がっていくことにより、誰でも暮らしやすい社会につながっていくのではないでしょうか。