食糧問題の原因と我々人類がすべき対策

街中にたくさんあるスーパーへ足を運べば、すぐに食糧が手に入る状況にある我々日本人にとっては、「食糧問題」と言われてもあまりピンと来ないかもしれません。

しかし現実では、生きるために必要な食事を手に入れられず、毎日多くの人間が餓死によって命を落としているのです。

一体なぜ、地球上で今現在でも食糧問題が起きているのでしょうか。

また、食糧問題に対して我々人類がすべきことは何なのでしょうか。

なぜ地球上で食糧問題が起きるのか?

日本に住んでいる私たちは、スーパーやコンビニ、薬局などあらゆる場所で「食糧」を手にできます。

食糧を手に入れるためにお金は必要ですが、食糧自体が不足しているわけではありません。

では次に、世界に目を向けてみましょう。

アメリカやフランス、ドイツ、韓国など、私たち日本人に馴染みのある国々でも、日本と同様に食べ物に不足しているようなイメージは、あなたも持っていないはずです。

しかし実際は、1日に4〜5万人の人が飢餓、つまり食糧不足によって命を落としています。

年間にすると1500万人以上ですから、人類にとっては深刻な問題です。

それではなぜ、地球規模で見ると全体で食糧が足りない状況に陥ってしまうのか理由を考えてみましょう。

食糧の生産と消費数

「食糧が足りない」というと、作物が取れないというのが理由と考えるかもしれませんが、そうではありません。

世界では年間に24億トンの作物が生産されています。

世界の人口が71億人とすると、「24億トン÷71億人=338kg」となり、

1人あたりの年間消費量は180kgですから、約2倍の数字です。

この数字を見れば、作物が収穫できないことが食糧問題の原因でないことは明白でしょう。

食糧問題の原因

実は、食糧問題の原因になっているのは「必要な国に食糧が行き渡っていない」「先進国が食糧を食べ過ぎている」この2つなのです。

たとえば日本で言うと、日本人は必要なカロリーより31%多く摂取していますから、これは「食べ過ぎ」とも言えます。

さらに先進国では人間だけでなく、ニワトリやブタなどの家畜も食糧を消費しているのです。

一方でソマリアでは16%のカロリーが不足しているという状態。

全世界で見ると1人あたりの2倍の食糧があるという計算になるにもかかわらず、実際は世界の約2割の人間にしか食糧は行き渡っていないのです。

食糧問題が進むとあらわれる問題

食糧問題が進むとどんな問題が出てくるのか。

まずは世界の人口の減少です。

全世界に71億人の人間がいるとは言え、年間で1500万人も飢餓により命を失っていては、いつか先進国を中心に世界の人口はどんどん減少していくでしょう。

日本は「輸入大国」と呼ばれるほど、たくさんの食糧を海外から輸入しています。

その数は年間5500万トン。

もし発展途上国を中心に世界の人口がこのまま減少し続けたら、やがて日本は海外から食糧を輸入できなくなるでしょう。

仮に食糧の輸入がストップしたとすると、その1年後には3000万人の人が餓死すると考えられています。

日本の問題

しかし実際は、海外から輸入した食糧は生命線のはずなのに、実際は日本は1800万トンもの食糧を破棄しているのです。

食糧を破棄するというと、飲食店で売れ残ったり食べ残されたりしたものをイメージするかもしれませんが、1800万トンのうち1000万トンは家庭から出たもの。

さらに1000万トン分の食糧をお金に換算すると年間11兆円となり、この数字は日本の農水産業の生産額とほとんど同じですから、「生産した分を家庭で捨てている」と言えます。

そして破棄された食糧の処理費用として、年間2兆円を支払っているのです。

2兆円の支払いは「無駄」に他なりません。

このまま破棄される食糧が増え続ければ、日本はたちまち財政難に陥るでしょう。

食糧問題に対する我々人類の課題とすべきこと

ここまで読めば、食糧が豊富にある日本であっても、決して人ごとではないとわかるはずです。

まず我々がしなければならないのは、破棄される食糧を減らすことでしょう。

たとえば、

・食べ残しはしない

・食べ残さない量を作る、買う

・無駄な食糧の買い物を避ける

などは今すぐにでも取り組めるはずです。

その他にも、海外から輸入する食糧を減らすために、国産のものを積極的に購入するのも一つ。

農薬による土壌汚染からの環境被害を防ぐために、無農薬の食糧を買うのも良いでしょう。

食糧問題を解決するには、1人1人が小さなことから始めるのが最も手っ取り早いのです。

少しの努力でも、何億人と集まれば大きな変化につながります。

まとめ

食糧がありふれた日本に住んでいると、食糧問題に陥っている人々はごくわずかのように感じるかもしれません。

しかし実際は、日本のように十分な食事を食べられているのは、世界のたった2割の人間なのです。

このまま食糧問題が加速すれば、世界の人口は減り、輸入がストップし、日本人の人口も大幅に減ってしまいます。

すぐにではなくても、食糧を大量に破棄することで財政が苦しくなる可能性も大いに考えられるのです。

食糧難に陥っている人々に直接食糧を届けるのは、個人ベースで考えると簡単なことではありません。

しかし、食べる量、買う量を見直して食糧問題を解決していくことは、誰でもすぐに取り組めるのではないでしょうか。