世界的な水資源が不足している?危機によってどんな影響を受けるのか

「水資源危機」の問題と言われた時、あなたはどんなものをイメージしますか?

実は今、世界規模でこの水資源危機が顕著になり、その対策の必要性が求められています。

水というのは人間が生活する上で絶対に必要なものであり、それが不足してしまうと人命はもちろん文明の危機にすらつながります。

現代ではなかなか顕在化しない水資源問題ですが、その危機感を全ての人が共有しておかないと、今後何らかの危機が起こっても不思議ではありません。

水資源は本当に危機なのか?何が原因なのか

地球は「水の星」と呼ばれるように、その多くが水に覆われています。

しかしご存知の通り地球上にある水のほとんどが「海」です。

塩分を含んだ海水は人が飲用として使えないのはもちろん、農業などでも使えません。

そのためここで言う「水資源」というのはいわゆる「淡水」と言われる、塩分などを含まない水です。

水資源は淡水のみ

実はこの淡水という水は地球上にある水のうちのたった「2%」しかありません。

残りの98%は海水で水資源としては使用できません。

この貴重な2%の水だけを全人類が分け合っているわけです。

先進国で暮らしていると全く意識できないかもしれませんが、全世界の人口の中で7億人の人が水資源危機という環境の中で生活しています。

生きるのに必要な水が確保できない人が、それだけの数存在し、さらに年間180万人の子供が死亡しているのが現実なのです。

ではなぜ水資源危機が起こるのでしょうか。

水資源危機の原因は農業

その原因の一つが農業です。

もともと水のない地域で植物を育てるためには灌漑が必要となります。

川の上流で大規模な灌漑を行い水を大量に使ってしまうと下流に流れる水が少なくなり、その結果これまで使っていた人や地域では川の水が使えなくなってしまいます。

つまり、食料を生産するための水が増えていくに従い、水がなくなってしまう地域が増えていくということになるのです。

水資源の不足はどんな危機を招くのか

具体的な水資源危機の大規模な事例をあげれば、中国第二の大河である「黄河」は沿岸での取水が飛躍的に増えた結果、現在では下口まで水が流れなくなり周辺では深刻な水資源危機を迎えています。

カザフスタンからウズベキスタンにかかる「アラル海」は、以前は世界第4位の大きさを誇る湖だったのですが、半世紀の間に湖が干上がり、現在では1/10の大きさになってしまいました。

「海」と名前がつくように塩水だったため干上がったあとは塩が残り、風によって塩が撒き散らかされ重大な塩害も周辺で発生しています。

世界的に人口が増えれば、それだけ農産物も増やさなければなりません。

その結果水が必要となり水資源危機が引き起こされこのような結果を迎えてしまいます。

水の需要増加

農業、そして工業といった産業が拡大した結果、水の需要は50年前と比較して3倍になっています。

今後さらに人口が増えていくと予想されていますので、それに従い水の需要もどんどん増えてしまいます。

水がなくなってしまえば、それまで採れていた作物が育てられなくなり、農業、さらには産業全体が衰退してしまうのはもちろんのこと、生きていくために必要な水さえなくなってしまったらその土地で生活することすら難しくなってしまいます。

国際紛争も勃発

さらに水資源をめぐっては、昔から様々な国際紛争が勃発しています。

たとえばアメリカとメキシコの紛争を招いたリオグランデ川やインドとパキスタンで揉めたインダス川など、国境が関わる河川には国際紛争の種となります。

今後もナイル川やガンジス川などで紛争が懸念されているという事実からも目が離せません。

生活のみならず戦争の種にもなりかねないのが、この水資源の問題なのです。

水資源の危機と日本への影響

しかし実際に水資源の危機と言われても、日本人としては梅雨の際の水不足による暖水や節水といった程度の問題しか実感していないかもしれません。

さらにはそもそも水自体を海外からそこまで輸入しているわけではないので、日本としては水資源不足は関係ないのでは、と考える方も多いかもしれません。

しかし現実的に日本は、世界規模の水資源不足に大きく影響を受けるのです。

なぜなら直接的に水を輸入する以外に、日本は非常にたくさんの「仮想水」を輸入しているからです。

仮想水って何?

仮想水とは穀物などの生産のために使用される水のことで、例えば日本が輸入している大豆や小麦など生産するために使用されている水の量は約100億トンです。

ほかにも輸入している牛肉のために使われている水は150億トンとなり、全体では800億トンもの仮想水を日本人が消費していることになります。

サスティナブルな環境問題を意識する上で水資源は単に国や地域の中で完結する問題ではなく、仮想水という形で途上国に負担をかけているということを、私たちも意識しておかなければならない事実なのです。

まとめ

今後の予想として2025年には世界の2/3が水資源危機となるという予想があるほどに、現在の水の問題は深刻なものなのです。

これを防ぐためには途上国の水資源を圧迫するような輸入をできるだけ避け国内生産の作物を積極的に利用したり、節水を心がけるなどといった基本的な対策を、先進国をはじめ世界規模で実施しなければなりません。

そのためにはまず私たち一人ひとりが、まずは今現在置かれている水資源危機という状況をしっかりと認識しなければならないはずです。