アイヌの人々に対する偏見をなくそう!アイヌの人々の人権問題とは

アイヌの人々は、固有の言語や歴史など独自の文化を持っている民族です。

しかし、近世以降に行われた同化政策等によって、現在では十分な文化の保全がなされていない状況になっています。

そのため、次の世代に継承すべき基盤が失われつつある状況といえるでしょう。

本記事では、日本が抱えるアイヌの人々に関する人権問題や課題、対策についてご紹介します。

日本が抱えるアイヌの人々に関する人権問題とは

アイヌの人々は、独自の口承文芸や伝統的な儀式、言語などの文化を持っています。

しかし、現在では同化政策等によって十分な保存や伝承などがなされていないとされています。

特にアイヌ語やアイヌの伝統を伝える人の高齢化が進んでおり、次代へ継承すべき基盤が失われつつあるとされています。

さらに、アイヌの人々に関する理解が十分でないため、就職や結婚等における差別が存在しているのが現状です。

日本での現状と課題

1965年、国際連合総会で「人種差別撤廃条約」が採択され、1995年に日本も加入しました。

この条約には、人種や皮膚の色、民族を理由にする差別は尊厳に対する侵害であると非難されるべきものとされています。

アイヌの人々に関する課題解決は、この条約が根底にあるとされます。

しかし、1997年に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が制定されるまでは、アイヌの人々は実質的に抑圧状態にありました。

明治に制定された「旧土人保護法」と呼ばれる差別的な法律による同化政策により、アイヌ語の使用や独自の風習なども禁止されていたのです。

さらに土地を奪われたり、狩猟を禁止されたりなど、さまざまな差別があり、今でもなお根強く残っています。

その後、国際連合などの勧告等がある、2008年に「アイヌ民族を先住民族とすることを求める会議」が採択され、ようやくアイヌの人々が先住民族であることが正式に認められたのです。

日本の政策

2009年には「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書が提出され、これにより「アイヌ政策推進会議」が発足し、アイヌ政策について活発的な議論が交わされるようになりました。

2010年には「民族共生の象徴となる空間」や「北海道アイヌの生活実態調査」が設置され、2011年には報告書が提出されたのちに「政策推進作業部会」が設置されます。

そして2014年には「民族共生の象徴となる空間の整備や管理運営に関する基本方針について」が閣議決定されました。

そして2019年5月には、「アイヌ文化振興法」が廃止となり、新しく「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」が施行されました。

このように、アイヌの人々に対する人権問題に関する政策が動き出したのは、ごく近代のことだといえます。

人々の無関心

アイヌの人々への人権問題には、現在の人々の無関心もかかわっているとされます。

鳥取市が市民を対象に行った「市民意識調査」による「あなたの周りに次のような人権問題があると思うか」という設問に対し、「アイヌの人々の人権問題」を「あると思う」と回答した人は、約15%にとどまりました。

これは提示した人権問題の中で最も低い割合とされています。

さらに、「アイヌの人々に関する人権上の問題は何だと思うか」の設問に対し、約58%の人が「わからない」を選択しています。

このことから、アイヌの人々の人権問題が、あまり知られていない、そして身近でないため理解が進んでいないことがわかりました。

国による政策は前進しているものの、依然として無関心や誤った認識などが残っており、それが差別や偏見の元となる可能性があります。

そのため、今後も教育や啓発を進めていく必要があるでしょう。

アイヌ民族文化財団による正しい知識の発信

差別や偏見などの人権問題の解決には、正しい知識と理解が欠かせません。

そこで公益財団法人アイヌ民族文化財団では、アイヌ文化やアイヌの伝統等に関する正しい知識の普及と啓発を図るための活動を行っています。

たとえば、同財団が運営する「アイヌ文化交流センター」では、アイヌ関係の図書や資料、ビデオ等を自由に閲覧することが可能です。

こうした場所で、アイヌの文化に関する正しい情報を知ることが、差別や偏見などをなくす第一歩として考えられています。

まとめ

アイヌの人々は、日本人にとって遠い民族ではなく、今なお共に生きる人々です。

北海道のみならず、全国にアイヌの人々は暮らしています。

教科書に載っているような白黒写真の中の人物ではなく、他の人々と同じように仕事や結婚をし、ごく普通の生活を行っています。

しかし、近年までアイヌの人々に関する正しい知識の流布や国による政策が制定されておらず、差別や偏見はまだ根強く残っています。

アイヌの人々への人権問題となくしたいと考えている人は、まずアイヌ民族に関する正しい知識と歴史を学んでみてはいかがでしょうか。