女性の人権問題の課題や対策について
1999年に「男女共同参画社会基本法」が制定され、男女が社会の対等な構成員である機会が確保されました。
しかし、実際には女性に対する意識はなかなか変わらず、現在でもさまざまな人権問題が残っています。
本記事では、日本が抱える女性の人権問題や、その問題に対する課題や対策などをご紹介します。
日本が抱える女性の人権問題とは
男女が平等であることの理念は、日本国憲法に明記されています。
また「男女雇用機会均等法」など、法制上も男女平等であることが制定されていますが、現実はそうはいきません。
現代でも、人々の心の中には「女だから」という意識が残っており、この意識が男女差別を生む原因になっているとされています。
たとえば、「女性は家庭を守るべき」などという固定観念が社会に残っており、家庭や職場での差別につながっています。
さらに、性的な暴力やセクシュアルハラスメント、暴力問題なども、女性の人権問題に大きく関わる問題です。
女性差別を感じた人は約4割いる
内閣府は「人権擁護に関する世論調査」による「女性に関する事柄で、人権上問題があると思われるのはどのようなことか」という調査を行っています。
その結果、一番女性差別を感じたのが「職場における差別待遇(約41%)」です。
次点が「家庭内における夫から妻に対する暴力(約33%)」、「職場におけるセクシュアルハラスメント(約33%)」と続きます。
このことから、約3~4割の女性が、職場や家庭で何らかの差別を感じたことがあると分かります。
主な課題には以下のようなものが考えられます。
セクシュアルハラスメント
職場などにおけるセクシュアルハラスメントは、相手の意に反したり、相手が嫌悪を示していたりするのに、性的な言動を行うことを指します。
またセクシュアルハラスメントによって、職場環境が悪化したり、職務を行う上で一定の不利益を被ったりすることも含みます。
ドメスティックバイオレンス等
配偶者や恋人など親しい関係にある人物から受ける暴力のことです。
相手を支配・服従させたり、単にイライラを解消するためにふるわれるとされています。
身体的なダメージを伴うものだけでなく、性的、精神的、経済的、社会的暴力なども含まれます。さらに、これらが重なり合うことも珍しくありません。
何がきっかけでいつ始まるのか、いつまで続くのかがすべて、暴力をふるう側次第のため、恐怖や不安を抱えた日々を過ごさなくてはいけません。
こうした女性へのドメスティックバイオレンスは、女性蔑視の意識や男女間の経済格差などが根底にあるとされています。
女性が男性よりも賃金が安い傾向にあるため、「女性が一人では生きていけない」という刷り込みが行われることも多いです。
ストーカー行為
ストーカー行為とは、相手の意に反して押しかけや待ち伏せ、無言電話などの行為を繰り返すことです。暴行や殺人などの重大事件に発展するケースもあります。
男女が共に能力を発揮できる社会を実現するためには
女性の人権問題を解決するため、国などがさまざまな取り組みを行っています。
たとえば、2001年には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が施行されました。
その後、2004年、2007年、2012年の改正に法改正が行われています。
これにより、配偶者からの暴力の防止や通報、相談、自立支援の体制の整備などが徐々に行われています。
さらに、毎年11月12~25日の間は「女性に対する暴力を無くす運動」などが実施されています。
人権ホットラインの利用
たとえば、法務省の人権擁護機関では、専用の相談電話窓口である「女性の人権ホットライン」を設定します。
このホットラインでは、女性の人権問題に詳しい職員や人権擁護委員などが相談にのってくれます。
健康支援を行う
男女が平等に能力を発揮できる社会にするためには、男女ともにお互いの身体的特徴や能力を理解することが求められるでしょう。
身体的特徴や能力を正しく理解すれば、相手に対する思いやりの心を持つことにつながります。
特に女性は、妊娠や出産によって身体的変化が起こりやすいため、女性特有の配慮が必要な場面に関して留意することも大切でしょう。
メディアにおける正しい情報の流布
女性における人権問題を解決するには、まず現状を知ることも大切です。
そのため、まずはメディアなどが正しい情報を発信することが重要でしょう。
近年は、SNSなどメディアが多様化しており、女性が子供の人権を侵害する新たな情報が問題となっています。
女性や子供を性的・暴力行為の対象としたメディアの表現は、男女平等に関する意識の形成を阻害してしまうでしょう。
そのため、メディアが正しい情報を発信することはもちろん、受け取る側もきちんとしたメディアから情報を受け取るメディアリテラシーの向上が求められるでしょう。
まとめ
男女平等に関する法律や憲法などは制定されていますが、いまだに人々の意識が変わったとは言い切れません。
そのため、現代でも女性の人権問題に関するさまざまな課題が山積みとなっています。
課題を解決するためには、まず人々の意識を変えることが大切です。