人類発展が及ぼす生態系への影響とその対策

「生態系への影響」と言われて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?

私たちの生活にはあまり関係のないように思える生態系の問題ですが、そのままにしておくといずれ人類の絶滅の危機にまで発展する可能性があります。

では一体どんな理由で、生態系への問題が人類絶滅の危機へと発展するのでしょうか。

私たちの知らないところで生物は絶滅の危機に晒されている

生態系についての問題はご存知ない方でも、「絶滅危惧種」という言葉は耳にした経験があるはずです。

絶滅危惧種とは、その名のとおり絶滅の危機に瀕している生物のこと。

地球は今からおよそ46億年前に誕生し、誕生から10億年経った頃から生命が生まれ始めました。

今の地球を見ても、陸や海にたくさんの生物が存在しています。

しかし、今現在、多くの生物が絶滅、あるいは絶滅危惧種に指定されているのです。

駆除や乱獲による絶滅

たとえば、「トキ」は日本で有名な絶滅した生物と言えるでしょう。

明治時代までは絶滅の危機に晒されるような気配は全くと言っていいほどなかったのですが、乱獲や農薬により数が減少し、ついに2013年に最後のトキが死亡してしまいました。

人間や動物にとって危険な動物というイメージが強い「ニホンオオカミ」も、危険から身を守るために駆除されてきたために、1905年に絶滅しています。

アメリカでは「アメリカリョウコウバト」と呼ばれる生物が1914年に絶滅してしまいました。

理由は食糧として、布団の材料として捕獲されたことだけでなく、遊びの標的として乱獲されたことが関係しています。

このように、生物の絶滅は日本のみならず、世界中で深刻な問題となっているのです。

生物の絶滅は加速し生態系は崩れ始めている

実は地球上の生物の絶滅は、年月が経つとともに徐々に増えているだけではないのです。

過去に5回の「大絶滅期」があったのですが、いずれも気候変動や天変地異が原因となっています。

2回目の大絶滅期では生物全体の90%が、5回目では75%とかなりの数の生物が減っています。

では現在はどれくらいの生物が絶滅の危機に晒されているのでしょうか。

現在では、全生物の25%が絶滅しそうになっています。

25%と言うと少ないように聞こえますが、過去5回の絶滅期と比べると、格段にスピードが早く、そして大規模です。

すでに絶滅してしまった生物の数を見ると、毎年5〜15万種が絶滅しています。

原因は生態系の破壊による、根こそぎ種の絶滅です。

来年、再来年には一体どれだけ生物が絶滅してしまうのか、考えただけでも恐ろしいと感じませんでしょうか。

生態系が崩れて絶滅危惧種が増え続ける原因とは

それでは次に、なぜ生態系が崩れて絶滅する生物、絶滅危惧種となる生物が増えるのか、原因を考えてみます。

先ほど少し触れた「根こそぎ種」による生態系の破壊の原因は、トキやニホンオオカミなどのように、乱獲が原因ではありません。

根こそぎの破壊は、土地開発などのために河川が埋め立てられる、森林が伐採される、土壌汚染などが原因です。

つまり、私たちが住んでいる土地や、ゴルフ場、レジャー施設、リゾート地などを作った結果、生態系の崩れを招いてしまっている、ということ。

生活が便利になる代償に、私たちは大切な生物の住み処を奪ってしまっているのです。

生態系の崩れの影響は人類の絶滅の問題へとつながる

「生物が絶滅しても人類に直接影響はないのでは」中にはこう考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私たち人間は生物がいなければ生きてはいけないのです。

「生物の共存」という言葉は一度は耳にした経験があるのではないでしょうか?

たとえば、クマノミとイソギンチャクは共生しており、クマノミが絶滅すればイソギンチャクもいずれは絶滅します。

人間の場合で考えると、人間は腸内細菌と共存していますから、細菌類が絶滅すれば人間も生き絶えてしまうのです。

細菌類の絶滅は、これから起こるある種の生物の絶滅が引き金になる可能性は十分にあり得ます。

生態系を守るために私たちがすべきこととは

生物の絶滅によって生態系が崩れると、いつかは人類絶滅の問題へと発展する危険性があります。

絶滅の危機を迎えてしまわないために、私たちがすべきことは何なのでしょうか?

まず一つは、旬の野菜や住んでいる土地の作物を積極的に食べることです。

「食」に興味を持ち、土から作物が取れる喜びを知れば、土地を大切にしようという思いが生まれ、その思いが土地の破壊を防ぐ行動へと発展するでしょう。

作物だけではなく、公園や植物園などで自然に触れるのも良い方法です。

美しい自然や生き物を大切にする心が芽生えれば、生態系を守ることの大切さも理解できるはず。

そのほかにも、生態系を守るために何ができるのか、実際に守る活動を行っている人は何をしているのかなど、生物の多様性についての知識を深めることも重要です。

まとめ

生物の絶滅については毎日ニュースなどで取り上げられる話題ではないため、毎年多くの生物が絶滅している実感がない方のほうが多いでしょう。

生物の絶滅による生態系の崩れは、いずれ私たち人類の絶滅にも影響を及ぼしてきます。

むやみに土地を破壊してきたことも関係していますから、「報い」と捉える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今からでもまだ間に合います。

生態系の崩れを防ぐために1人1人が行動を起こせば、絶滅してしまう生物の数は徐々に減っていくでしょう。