採掘による有害物質の問題点とは?我々人類は何をすべき?
採掘による有害物質が及ぼす影響は深刻で、周辺の自然環境を変えてしまうことも少なくありません。
周辺住人に健康被害を及ぼす例も見られ、採掘を行う際には有害物質による被害防止の対策が求められます。
ここでは採掘による有害物質の問題点や、それを解決するための対策について解説していきます。
採掘による有害物質が発生する原因
採掘は主にレアメタルやレアアース、貴金属などのもととなる鉱石を取るために行われています。
レアメタルやレアアースなどの鉱石は非常に珍しく、大量に取れることはほとんどありません。
1トンや2トンといったまとまった量の土砂の中からやっと数グラム程度取れるという状況です。
そして鉱石を取った後の土砂は捨てられてしまいますが、その中に有害物質が含まれていることもあります。
土砂の中に埋まっている分には、特に何も起こりません。
しかし、掘り出されることで地下水と混ざってしまうこともあるでしょう。
河川に流れ出る可能性もあります。
そのような具合で我々にさまざまな悪影響を及ぼすのです。
レアメタルやレアアース、貴金属は何に使われる?
採掘で得られるレアメタルやレアアースなどは、主に電子機器などに使われています。
代表的な例はスマートフォンやパソコンです。
他にもテレビやデジタルカメラ、自動車など我々の身の回りで非常に多くのものにレアメタルやレアアースが使われています。
レアメタルやレアアースなしでは、我々の生活は成り立ちません。
また、貴金属はアクセサリー類などに使われているイメージが強いですが、電化製品の部品としてもよく使われています。
レアメタルやレアアースと同様に我々の生活にどうしても必要なものです。
採掘による有害物質が及ぼす影響
採掘による有害物質は、鉱山の周辺で広範囲にわたって影響を及ぼします。
主に次のようなところへの影響が大きいです。
周辺住人への影響
採掘による有害物質が地下水などに混ざることで、農作物の生育に影響を与えることがあります。
19世紀後半に起こった足尾銅山鉱毒事件においても、稲が枯れるなどの被害が発生していました。
また、有害物質が河川に流れ出ることもあります。
有害物質により農作物が育たなくなるだけにはとどまりません。
有害物質の影響を受けた農作物を食べてしまうことで健康被害が出ることもあります。
四大公害病の1つとして知られているイタイイタイ病がその代表的な例です。
神岡鉱山で発生した有害物質が神通川に流れ出て農作物を汚染し、それを食べた人たちに深刻な健康被害をもたらしました。
生物への影響
人間以外の生物への影響も大きいです。山に済む動物や鳥類などは地下水や河川の水を飲むことが多いです。
採掘による有害物質が地下水や河川に混ざることで、死んでしまうこともあるでしょう。
周辺地域の生態系が崩れてしまう可能性もあります。
また、河川に済む魚なども有害物質に汚染されてしまうでしょう。
これにより人間にも被害が及びます。
採掘後にも影響が続く
採掘による有害物質は採掘を終えたらなくなるわけではありません。
その後もしばらくは有害物質が地下水や河川などに流れ出続けてしまいます。
また、いったん汚染された土壌や河川がもとの状態に戻るまでには時間がかかるでしょう。
そのため、有害物質が及ぼす悪影響は長期にわたることが多いです。
採掘による有害物質の被害を防止するためには
採掘による有害物質は周囲に深刻な影響を及ぼす環境問題です。
何も対策をせずに採掘を行えば、被害がどんどん拡大するでしょう。
我々は被害を防止するための対策を講じなければなりません。
では具体的にどのようなことを行えばいいのか見ていきましょう。
事業者が行うこと
採掘を行う事業者には、有害物質で汚染された坑廃水の発生防止と、無害化が求められます。
鉱床ができるだけ雨水に触れないようにした上で、採掘をした後の残土や沈殿物にセメントを混ぜて坑廃水施設へ圧送します。
そうすることで、有害物質の発生を抑えます。
また、発生してしまった分に関しては無害化するという具合です。
我々ができること
レアメタルやレアアースなどの需要が多ければそれだけ採掘が行われることになります。
そのため、レアメタルやレアアースなどを無駄遣いしないことが大切です。
具体的にはスマートフォンの機種変更などをする際には、古い機種をリサイクルに出すようにしましょう。
そうすれば、古い機種に使われているレアメタルやレアアースが再利用されます。
また、電化製品などを長く使うことも重要です。
そうすれば、レアメタルやレアアースの消費量が減るでしょう。
まとめ
採掘はレアメタルなどをはじめとして、我々の生活に必要な金属を取るために行われています。
しかし、周辺地域に悪影響を及ぼすリスクも高いです。
採掘により地中に埋まっている有害物質も一緒に掘り出され、地下水などに流れ込むことで農作物や河川などが汚染されてしまいます。
事業者では、坑廃水の発生防止や無害化などで対策を講じているところが多いです。
我々も、機種変更したスマートフォンはリサイクルに出すなどできることから始めてみましょう。