海洋汚染の原因は?現状と私たちができる対策

地球の約7割を占めているのが海です。その海が汚染されると私たちの生活にも大きな影響がでてしまいます。

また、海洋汚染は日本だけではなく、世界的な問題として取り扱われることが多いです。

この記事では、海洋汚染の現状や私たちができる対策などをご説明します。

海洋汚染とは

海洋汚染とは、海に住む生物や人間の健康に被害をもたらすものが、海に直接持ち込まれることです。

海洋汚染の原因となるものは、人間が直接持ち込んだり下水から海に流れ込んだりします。

海洋汚染の原因

海洋汚染の原因には、ゴミや産業廃棄物が海に捨てられたり船舶の事故で重油などが流出したりすることがあげられます。

それらは一時的なものですが、海洋汚染を起こす慢性的な原因もあります。

たとえば、工場や家庭から出される排水、河川や待機からの化学物質が海に流れ込むと、慢性的な海洋汚染につながります。

特に慢性的な海洋汚染は私たちが気づかない海面の下で行われており、大きな課題となっています。

日本の海洋汚染の現状

海上保安庁が発表した「令和2年の海洋汚染の現状について」によると、海洋汚染の件数は453件であることがわかりました。

この件数は前年比で21件の増加となっています。

以下は同発表をもとにした海洋汚染の現状です。

・油による海洋汚染:286件

→そのうち船舶からの排出が167件であり、船種は漁船が最多。排出原因は船舶海難が最多であり、不適切なタンク計測やバルブ操作などの作業中における取扱不注意と続く。

・廃棄物による海洋汚染:158件

→そのうち一般市民の家庭ゴミの不法投棄が95件、漁業関係者による漁業活動で発生する「残さ」や漁具等の不法投棄が58件。

以上のうちで一般市民の家庭ゴミにはプラスチックゴミがあります。

プラスチックはペットボトルやレジ袋など私たちの身近なものに使われています。

それらが海に投げ捨てられることで、誤飲してしまう生物もいます。

また、プラスチックゴミは自然環境下で長時間放置されると、劣化して小さな破片になります。

5mm以下のものはマイクロプラスチックゴミと呼び、エサと間違えて食べてしまう恐れがあります。

海洋汚染が起こるとどうなるか

プラスチックゴミ

海洋汚染が起こると私たち人間の健康被害につながりやすいです。

前述したプラスチックゴミなどの有害物質は、食物連鎖を通じて濃縮されていきます。

食物連鎖のプラミッドにおいて頂点になれば、最も濃縮された有害物質を体内に蓄積することになります。

つまり、人間が高濃度の有害物質を取り込むことになるわけです。

海中の汚染物質はバクテリアが分解するわけですが、それが追いつかないほど日本や世界の海が汚染されています。

赤潮や青潮

また、赤潮や青潮などの海洋汚染も海中の生物に悪影響を及ぼします。

赤潮とは、海中のプランクトンが異常に増殖して海水が赤く変色することです。

赤潮は海水の富栄養化などが原因であり、水温や光量といった条件が整うと発生します。

青潮もプランクトンの異常発生が原因です。

そのプランクトンの死骸が底に沈んで分解されると、硫化水素が発生します。

硫化水素が強風で海面に上がってくると海が青色に変色します。

なお、赤潮も青潮も汚水を海に流すことで発生しやすくなります。

いずれの現象も発生すると海中の生物が酸欠状態となり、大量死を招きます。

赤潮は高度経済成長期によくみられましたが、最近は法改正により当時の3分の1まで減少しました。

また、青潮の発生件数は非常に少なく、東京湾で発生することがほとんどです。

私たちができる海洋汚染の対策

私たちができる海洋汚染の対策はさまざまです。

普段の生活ではプラスチックゴミを減らすことが効果的です。

プラスチックは捨てるとゴミになりますが、再利用できるものも多くなっています。

たとえば、すでに有料化となっていますがレジ袋ではなくマイバッグの利用も効果的です。

食事では使い捨て食器の利用を減らすことも意識してみましょう。

また、シャンプーやボディーソープなどは詰め替え用を使うことで、容器を捨てる必要がありません。

ペットボトルであれば、分別することで再利用も可能です。

このように、私たち一人ひとりができることを意識してみてください。

プラスチック・スマートキャンペーン

個人だけではなく政府が推進するキャンペーンの理解も大切です。

政府は2025年までにあらゆる種類の海洋汚染を防止して大幅に削減することを目標にしています。

これをプラスチック・スマートキャンペーンといいます。

プラスチック・スマートキャンペーンでは、個人、団体がプラスチックゴミを減らすアイディアをSNSでシェアして広めていくことや海岸の清掃活動などを行っています。

このような政府の施策に積極的に参加することも、海洋汚染の防止につながります。

海洋汚染防止指導や廃油処理施設の整備

なお、海洋汚染については未然防止対策として、海洋汚染防止指導や廃油処理施設の整備など具体的な取り組みがなされています。

ほかにも排出油等防除体制の整備、海洋汚染防止のための調査研究・技術界初など、国内でさまざまな取り組みがあります。

国際的な取り組みや条約もあるため、海洋汚染は地球規模のこととして一人ひとりが認識していくことが大事です。

海洋汚染を防ごう

海洋汚染は油や廃棄物の流出により発生します。

海洋汚染が発生すると、海中の生物が有害物質を摂取して、体内に蓄積してしまいます。

それらの生物(魚など)を人間が摂取することで健康被害を及ぼします。

また、海が汚染されると海中の生物の大量死につながり、生態系などにも影響があります。

プラスチックゴミを減らしたり再利用したり、一人ひとりができることに取り組んで海洋汚染を防いでいきましょう。