森林破壊は進んでいる?世界と日本の現状とこれからの対策とは?
世界中で森林破壊が問題となっています。
森林破壊が進行すると動植物への影響や気候の変化などさまざまなリスクが生まれます。
この記事では、世界と日本の森林破壊の現状やこれからの対策をご説明します。
森林破壊とは
森林破壊とは、自然の回復力を上回るスピードで森林面積が減少することです。
森林破壊のスピードは地域により異なりますが、東南アジアや南米などで深刻化しています。
なお、国際連合の報告によると2015年以降、毎年失われる天然林の面積は約10万平方キロメートルとなっています。
森林破壊が起こる原因
森林破壊の進行にはさまざまな原因があります。
・違法な森林伐採
・紙や燃料用木材として活用するための過剰な森林伐採
・焼畑農業の増加
・森林伐採により土地の転用(レジャー施設や宿泊施設など)
・森林火災による森林の焼失
以上が森林破壊の主な原因です。
端的にいうと何かしらの開発のために森林の伐採が行われています。
森林破壊の現状
ここからは、世界や日本の森林破壊の現状をみていきます。
アフリカ
アフリカは近年、人口が爆発的に増えており、食糧生産も急ピッチで行う必要があります。
人々の食糧生産のために森林伐採が進んでいます。
特に熱帯地域では土壌が酸性であるため、焼畑農業により森林を焼失させています。
しかしながら、焼畑農業は土地の回復力を無視した方法であり、森林破壊の大きな原因となっています。
とはいえ、熱帯地域は農作物の耕作に適しており、現地で作られた農作物が日本の食卓に並ぶことも多いです。
東南アジア
東南アジアの国々では、木材の過剰輸出や違法な森林伐採により森林破壊が進んでいます。
また、インドネシアにおけるパーム油の製造も森林破壊の原因のひとつです。
パーム油はアブラヤシから採れる植物性の油ですが、そのプランテーション(大規模農園)により野生生物が減少しています。
中国
近年の経済成長が目覚ましい中国ですが、北部地方の砂漠化が問題となっています。
砂漠化の原因は、森林の過剰伐採や家畜等の過放牧、さらに農作物の過耕作があります。
それらに加えて、乾燥化などの気候変動も砂漠化の原因と考えられています。
オーストラリア
オーストラリアも経済発展が森林破壊の原因のひとつです。
また、2019年9月から同年年末にかけて発生した森林火災も森林破壊に大きな影響を与えました。
この火災はオーストラリア史上最悪と言われており、数万人規模の住民や観光客に避難勧告が発令されたほどです。
ブラジル
ブラジルにおいても2019年8月に森林火災が起こりました。
3週間ほどの期間で4,000件近くの森林火災が確認されています。
この火災はブラジルだけではなく、ボリビアやパラグアイにかけてのチキターノ森林などでも発生しています。
しかし、アマゾンには世界最大の熱帯雨林が残っており、数多くの野生生物が生息しています。
先住民も野生生物とともに生活しているため、再び森林火災が起こると先住民の生活拠点を奪うことになります。
日本
日本は国土面積の約7割が森林となっており、森林大国と呼ばれています。
過去40年間においても森林面積の変動はほとんどありません。
不安要素がないように思いますが、実際はそうではありません。
日本は森林蓄積が年々増加しています。
森林蓄積の増加は自国で伐採できる木材を使っていないことを示します。
つまり、他国から輸入した木材を使っているわけです。
これは日本の森林は守れても世界の森林が守れていないことになるでしょう。
森林破壊によるリスク
森林破壊が進むことで以下のようなリスクが考えられます。
気候の変動
近年、異常気象が被害をもたらしています。
大雨、大雪、猛暑、干ばつなどは森林破壊が大きく関係しています。
これまで森林のおかげで、空気中の二酸化炭素を大量に蓄えていました。
しかし、森林破壊が進むことで二酸化炭素が待機中に放出されて、地球温暖化を助長するようになっています。
さらに、森林がなくなることで水害が起こりやすくなり森林火災も長期化しやすくなりました。
生態系の崩壊
森林破壊により生態系の崩壊も危惧されています。地上の約3割は森林となり、野生生物の半数以上が生息しています。
よって、森林破壊が進むことで多くの野生生物の絶滅の危機に直面します。
絶滅危惧の野生生物は、森林以外に住む野生生物と食物連鎖などで繋がっています。
ですから、森林に住む野生生物の絶滅がほかの環境で生存する野生生物の命にも関わっているわけです。
人間の暮らしの変化
森林破壊は野生生物だけではなく、人間の暮らしにも影響があります。
森林には木材や農作物の原種など世界中の人々の暮らしに欠かせない恵みがあります。
世界には今もなお森林から採集できる食料に頼って暮らしている人々も多いです。
ですから、森林がなくなれば人間も生きていけなくなります。
新たな感染症の恐れ
2020年以降、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が問題となっています。
新型コロナウイルスなどの動物性由来の感染拡大にも森林破壊が関わっています。
森林破壊が進むと、病原体をもつ野生生物との接触機会が増えます。
それにより新たな感染症の恐れが出てきます。
野生生物はその体内で未だ解明されていない細菌やウイルスを保有しています。
森林が失われることで、動物から動物、動物から人、人から人と新たな感染症が拡大していく可能性が高いです。
そして、私たちの生活にも大きな影響が出ることは容易に想像できるでしょう。
森林破壊への対策
森林破壊の進行を防ぐために、さまざまな対策があります。
・紙製品の使用をできるだけ減らす
・再生紙製品を活用する
・環境に配慮した製品を選ぶ
・森林保全団体などのボランティアに参加する
・森林保全団体などに寄付をする
以上は個人でも十分にできることです。
各個人が森林破壊のリスクを理解して、森林を守るための行動を意識しましょう。
森林破壊を防ごう
世界各地で森林破壊が問題になっており、それが原因でさまざまな変化が起きています。
生態系の変化や私たちの生活に悪影響が出ないように、森林破壊を防いでいきましょう。