砂漠化の原因と、その進行によって起こること
物語などでみた、「エジプトの、どこまでも広がる黄金の砂色の大地」に魅せられた人もいるのではないでしょうか。
どこまでも広がる砂漠は、自然の雄大さを感じさせるものでもあります。
しかしこのような美しい風景も、「環境問題」の観点からいえば決して歓迎されるばかりのものではありません。
今回は進んでいく砂漠化とその原因、砂漠化の進行によって起こること、そして私たち人類ができる対策について考えていきます。
砂漠化が起きる原因は決してひとつではない
砂漠化の原因は、大きく分けて、「気候的要因」と「人為的要因」に分けられます。
気候的要因とは、その名前の通り、気候の変化や乾燥・干ばつなどによるものです。
対して人為的要因とは、人間の活動によって起きるものです。
人間の活動が、その土地の許す生態系のなかに収まりきっている間は大きな問題になりにくいのですが、その生態系の許容限度を超えた場合、土地の劣化が起きる原因となります。
今回は主に、後者の「人為的要因」に注目しましょう。
砂漠化の人為的要因
「砂漠化の人為的要因」として多くの人がまず真っ先に思い浮かべるのは、「森林の減少」なのではないでしょうか。
植物を切り倒し、建材などに利用することなどを思い浮かべるかと思われます。
しかし実は砂漠化の原因は数多くあり、そして地域によって主な砂漠化の原因はまったく異なります。
たとえばアジアの場合の土地劣化の原因は、「過放牧」「森林減少」「過耕作」がほぼ3割ずつとされています。
しかし南アフリカでは森林減少が土地劣化の原因の40パーセント以上を占め、北アメリカでは過耕作が土地劣化の原因の50パーセント以上となっています。
また、羊などの放牧でも知られる豪州においては、想像もつきやすいかと思われますが、過放牧が土地劣化の原因の90パーセント近くを占めています。
砂漠化が進行するとどうなるか
では、砂漠化が進行するとどうなるのでしょうか。
砂漠化が進行すると、さまざまな問題が起きます。
1.生態系が破壊・喪失される
2.資源がなくなる
3.人間の健康状態が悪くなる
4.経済的な悪影響が起こりやすくなる。また戦争が起こりやすくなる
ひとつずつ見ていきましょう。
生態系が破壊・喪失される
もともとは豊かな緑があった土地が砂漠化することで、そこで生きていた種が絶滅したり、植物形態が破壊されたりします。
これによって、その種自体が世界から姿を消す可能性すらあります。
資源がなくなる
そこに存在する生物・植物が失われれば、食物連鎖が崩壊します。
その結果として放牧なども行えなくなり、農産物の量が低下したり必要な水が得られなくなったりします。
人間の健康状態が悪くなる
「資源がなくなる」ことは「人間の健康状態を悪化させること」に直結します。
農産物の供給が減少あるいは止まってしまえば、人は飢餓状態に陥ります。
飢餓状態にあると人は病気を患いやすくなります。
経済的な悪影響が起こりやすくなる。また、戦争が起こりやすくなる
生活ができない人が都心部に流れ込み、経済的な悪影響が起きる可能性があります。
また資源をめぐって対立が行い、戦争が起きる危険性が極めて高くなります。
砂漠化を防ぐために、私たちができること
ただ、だからといって、「砂漠化が進んでいるから今すぐに過放牧や過耕作を止めろ」ということは極めて難しいといえます。
もともと砂漠化が進行しているところというのは、生態系が脆弱であり、経済的にも貧しいなどの事情があります。
そのため、「土地を弱らせることになっても、耕作をしなければ生活が立ち行かない」という状況にあることも多いのです。
そしてこのような「生活のための過耕作」によってさらに土地の力が弱まり、土地が劣化していき、脆弱な土地となる、といった悪循環が繰り返されているのです。
持続可能な対策が必要
これを防ぐために、いわゆる先進国が開発途上国に積極的に援助するように条約が作られました。
またこれは単純に「支援」だけを目的としたものではなく、その土地に暮らす人たちにも参加を呼びかけ、持続可能な対策を講じることも念頭に置かれています。
砂漠化を防ぐためには、砂漠化の原因となっている貧困問題に対してアプローチしていく必要があります。
「教育の充実は、貧困から脱出するための手段である」とし、教育の充実を図ることもまた砂漠化を食い止めるための取り組みです。
個人で出来ること
砂漠化の原因となっている地球温暖化は、諸説はあるものの、二酸化炭素の排出によって起こりやすくなるといわれています。
そのため公共交通機関を利用したり、省エネ製品を選んだりすることで、環境問題対策とすることができます。
一人ひとりの取り組みは非常に小さいもののように思われますが、多くの人が取り組めばそれだけ有効な対策となり得ます。