人口爆発で何が起こる?その原因と対策について

人口爆発とは、その名の通り人口が爆発的に増えている現象のことを意味します。

これは現在の地球規模での状況と言い換えられます。

少子化が問題となっている日本国内の状況では、人口爆発という現象にリアリティーを感じないかもしれませんが、地球レベルで考えると現状はこの人口爆発がどんどん進行しているのです。

国連の世界人口予測

では実際に、世界中でどの程度人口が増えているのでしょうか。

国連の世界人口予測(2017版)によれば、地球の人口は現在75億5000万人。

現状を分析すると、30年後の人口は驚くべきことに85億5100万人と予想され、さらに100億人に達するのはわずか55年後ということになっています。

つまり世界規模で考えれば、恐ろしい勢いで人口が増えているのです。

ではなぜそんなに人口が増えているのでしょうか。

そして人口爆発が起こるとどんな問題が発生するのでしょうか。順を追って見てきましょう。

なぜ人口爆発が起きているのか?

人口爆発の状況は、出生率を見るとわかります。

先進国においてこの出生率は低下しているのですが、途上国ではまだ増え続けています。

出生率というのは教育レベル、特に子に対しての教育が進めば低下するのですが、きちんとした教育、その中でもきちんとした性に関する教育を受けていないと出生率はどんどん増えてしまうということが、これまでの調査からわかっています。

もう一つが長寿社会が人口爆発を引き起こしています。

1973年には60歳だった世界の平均寿命は、今日では71歳となっています。

医学が発達し健康な人が増え、飢えによる犠牲者も減り人口の減りが止まり、出生率が増えていけばどんどん人口が増えていくのも自然の摂理と言えるわけです。

人口爆発もたらす貧しさ

では人口爆発の何が問題となるのでしょうか。一つは貧しさの問題です。

貧しさこそ人口爆発の原因だという意見を口にする人もいますが現実的にはそれは逆で、人口爆発が起きた結果貧しさが引き起こされます。

人口が一定レベルにあるうちは自給自足でやっていけますが、徐々に自分たちの作ったものをよその人に販売し、豊かさを得るためにお金を稼ごうとし始めれば、労働力を確保するために子供を増やします。

その増えた人口が土地や水源を酷使したり農薬を撒くことで生産量が減り、人口が増えた分に対しての生産量が減り、その結果貧しくなってしまうという負のスパイラルが起きます。

人口爆発の基本的な原因

途上国では今以上の豊かさを求めるためには生産性を高め、生産性を高めるためには子供をできるだけたくさん作り、働き手を増やすというのが手っ取り早い方法なのです。

人口爆発の基本的な原因はそこにあります。

これが地球規模で広がっていけば、たとえ先進国の人口が増えなくても食料が不足したり、エネルギーが枯渇して大きな問題を引き起こすことになります。

人口爆発は世界にどのような影響を与えるのか

途上国の人口だけが爆発的に増えているのであれば、途上国の人口爆発を抑えれば良いのではないかと考えるかもしれません。

しかし人口爆発の原因となっているのは途上国ではなく、実は先進国にあるといっても良いのです。

先進国が消費をどんどん進めていけば消費するための資源は自給自足の範囲を超え、外に向かい資源を求め始めます。

その結果、資源そして労働力を途上国に頼るようになります。

そうなれば先進国に資源と労働力を奪われて今度は途上国の自給自足が困難となり、その結果人口爆発が起き貧困が生まれてしまうのです。

途上国と先進国の関係性

つまり先進国の身勝手な欲求により、人口爆発を途上国に「輸出」しているのが現状というわけです。

さらに先進国が人件費の安価な途上国に労働力を頼るようになれば、先進国の仕事が減り失業率が高くなるといった弊害も起こります。

途上国ではなく、先進国の仕事も減ってしまうのです。貧困は人口爆発を起こしている途上国だけの話ではなく、色々な形で先進国にも影響を及ぼしてしまいます。

人口爆発に対してどんな取り組みがされているのか

人口爆発に対する取り組みは、実は比較的早い段階から行われています。

国際協力という意味では1950年台から人口爆発に対する取り組みはスタートし、国際会議が行われたのが1974年。

その後も継続的に国際的な会議が開催されています。

人口爆発を抑制する一番の方法は、家族計画という概念を人口爆発が起こっている地域に対して徹底して啓蒙することです。

目先の労働力の確保という目的のためだけに子供を作ることが、最終的にどういう結果になるのか。

そして子供の労働力だけに頼らず豊かな生活を手に入れるためにはどうしたらいいのかという総合的な「教育」が鍵となります。

教育問題も鍵

現状の途上国ではそのような教育はもとより、一般的な教育すらまともに受けられない子供たちがたくさんいます。

学校という施設、教育するために必要な先生などが圧倒的に不足しています。

さらにこの教育問題は、女性の地位向上とも密接に関連しています。

社会的に女性の地位が低い地域では男性のいうがままになり、結果として妊娠して望まないのに子供を産んでしまうという状況が続きます。

そのため、女性の地位を向上するため、人口爆発を防ぐために家族計画のあり方を含め、総合的な教育レベルを上げることが、人口爆発を抑制する第一歩となるわけです。

まとめ

人口爆発というとそれは途上国の問題と思いがちですが、実際はそのような簡単なものではありません。

まずは人口爆発が引き起こす問題点を明確に知り、それをどう解決していくのか。

私たち一人一人が問題意識を持ち、取り組んでいくことが人口爆発による地球規模の問題を解決していくためには必要となるのではないでしょうか。